多忙な都会生活から地方での子ども中心の生活へ。「リユース」と「産後ケア」でママを応援

名嘉村 まりこ/Iターンママ

常葉町

IJU

2018年に千葉県から田村市へ家族で移住しました。2019年に始めたリユース(再利用)事業を行う傍ら、現在は自身の経験から辛い想いをする産後ママがいなくなるようにと、産後ケア事業を展開しています。

子どものことを考えるなら、環境の良い場所がいい

私は小さい頃から首都圏で暮らしていました。父の仕事の関係で高校3年間は福島県富岡町で過ごしましたが、就職を機にまた首都圏に戻りました。田村市に移住しようと思ったきっかけは、やっぱり子どもができたことが大きいです。 移住前は首都圏の家電量販店で販売や管理、人材育成などを担当していました。夫も同業でしたが、とにかく忙しい。2人とも朝早くから夜遅くまで働いていました。とてもじゃないけど、こんな状況で子どもは育てられない!と感じ、移住を考えるようになりました。ちょうど父が営んでいた田村市の工場で夫が働けることになり、田村市への移住が決まりました。

子育てしながらでも、極力ストレスなくできる仕事がいい

移住後すぐに出産しました。仕事を始めるにあたり子どもを保育園に入れる際は、人一倍ナイーブで人見知りする子どもなので、小規模でアットホームな保育園を選びました。ただ子どもが保育園に行き始めても、熱や体調不良で頻繁に呼び出されるんです。仕事に行ったと思ったら電話がきてとんぼ返り、なんていうことも。働きに行くのはなかなか難しい…ということで、自分で事業を始めることにしました。 元々「自分の子どもにボロボロの地球を引き継ぐわけにはいかない」という想いがあったので、1度使ったものを再利用する「リユース」事業を始めました。出張買取、生前整理、遺品整理などを通して使わなくなったものを引き取り販売します。実は最初のころは何をやるか定まっていなくて、「便利屋」として登録していたんですけど(笑)。それこそ依頼があれば草刈りや家事代行、何でもやりました。

自分の経験から、辛い思いをする産後ママを救いたい

そして今、次のステップとして進めているのが「産後ケア」事業です。これは自分の経験を基にしています。出産後は新米ママにとっては未知の世界です。初めてのことの連続ですし、家族以外とはほとんど会えないとっても不安な時期です。 私自身、産後は眠れないし、誰とも話さないし、子どものお世話と家事でいっぱいいっぱいでした。洗濯物をたたみながら涙が止まらなくなったこともあります。そしてある時プッツンと何かが切れて、突然自分の髪をバリカンで刈り上げたんです。もう冷静な判断はできなかったんでしょうね。今考えたら産後鬱に近い状態だったんだと思います。 こんなに辛い状況なんですけど、産後の女性というのはホルモンの関係で気力が弱っているので、「辛い」「助けてほしい」と声を上げることが難しいんです。気力が戻ってきた頃には家事、育児、仕事に追われなかなか声をあげる機会がなく、そのまま放置されてきた現状があります。 そんなママたちの声を集めて然るべきところに届ける、そして制度化して辛い思いをするママをなくしたい、そういう思いで「たむら子育てプロジェクト」を立ち上げました。

産後ケアの「田村モデル」を作って全国展開!日本中のママを救いたい

今始動に向けて準備しているところですが、具体的にはこれまでやってきたリユース事業を生かし、短期間しか使用しない「子ども用品のレンタル」、出産前に情報収集ができる「パパ、ママ向け産後講座」、子どもの教育資金などについて学ぶ「お金の講座」、産後社会復帰するための「体力つくり+心のケア」、困っているママのための「家事、送迎の代行」などを行っていく予定です。最近、空き店舗だった商店街のお店(元薬局)を買い取りまして、そこと自宅、あと最近できたばかりの「チャレンジを実現していく拠点 tokiwa+(トキワプラス)」を拠点にしながら、現在プロジェクトを進めています。 このプロジェクトがうまくいったら、「田村モデル」として日本全国にこのプロジェクトを広げていきたいと思っています。多くのママが救われて、第二子、第三子も産みたいな、産めるかもしれないと思うママが増えたら、子どもの人数だって増えていきますよね。そうして自分の子どもに少しでも住みやすい、良い世界を残したいんです。

何か夢やチャレンジしたいことがある人は、移住すべき!

今の時代、「田舎」であることはメリットだと思います。私が田村市に移住、起業して感じているのは、小さい町だからこその「色んな人に応援してもらえる」「見つけてもらいやすい」「受け入れ体制がある」ということ。夢がある!チャレンジしてみたい!と思っている人にとっては、すごく良い環境だと思います。 もちろん田舎ならではの不安もあります。例えば、場所によっては子どもの人数が限られているので、部活動や習い事は少ない中から選ばざるを得ません。店舗が多いことが良いわけではないのですが、お店、特に子ども用品が揃うお店もある程度決まってきます。そうした小さな不安はありますが、足りないところは地域のみんなで補い合っていけたらいいなと思っています。 産後ケアはこれから力を入れていくので、期待していてください! 取り残されるママがいない、そんな地域にしていきたいと思います。

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