就職した先は移住者歓迎、東北名物「芋煮会」を開催するなど社員を大事にする会社。18時前には帰宅し週末は農業や旅行など家族との時間を楽しむ『淺田和俊さん』

淺田和俊さん/株式会社 桑原コンクリート工業 営業担当

田村市船引町

地方のサラリーマンって、いったいどういう生活を送っているのでしょうか?

今回は東京から福島県田村市に移住し、未知だった業界でゼロから経験を積む先輩移住者「淺田和俊さん」をご紹介します。

福島県出身のパートナーのため、義実家近くに引っ越しを!

淺田さんが生まれ育ったのは兵庫県神戸市。就職し、東京で警備員として働いていた。

それまで都会で生きてきた淺田さんが地方移住を考えるきっかけとなったのは、人生のパートナー(今の奥様)と出会い、結婚を考え始めたことだ。

奥様は福島県北部の伊達市出身。今後の生活を考えた時、奥様の実家近くで暮らした方がみんなが安心できるのではないかと思い、移住を決意。淺田さんにとっては未知の土地ではあったが、

「まぁ自分はどこに行っても生きていけるだろう」

と、そこまで不安には思っていなかった。

移住者のための補助金が充実。加えて田舎過ぎない田村市を生活拠点に

東京で移住情報を集めるうちに、同じ福島県内でも原発事故で避難を余儀なくされた12市町村は、移住者に対するサポートが手厚いことを知った。当初は奥様の出身地域の近くに引っ越すことを考えていたが、折角なら移住に手厚いところがいいだろうと、移住先の候補を広げて探し始めた。

そうして最終的に残った地域が田村市だった。奥様の実家にも行きやすく、かつ田舎過ぎず、生活するうえでもそれほど困らなそうなところが決め手となった。

そうして生活拠点を決めたのはいいものの、大変なのはそこからだった。

「移住を考えている人は、事前にできるだけの下調べはした方がいいです。後で大変なことになりますから!まぁ何を調べればいいのか実際に来てみないとわからないところもあるんですけど(笑)」

淺田さんが苦労したのは、家探しと仕事探しだったという。移住の支援金を受け取るためにはいくつか条件があるが、その条件を満たすためには急ピッチで引っ越し先と就職先を決めなければいかなかった。

が、決まらない。仕事が決まっていないのに賃貸アパートを貸してくれる民間業者はほとんどない。仕事は業種にこだわらず「何でもチャレンジしよう」という想いで就職活動をしていたにもかかわらず、

「応募した会社のほとんどは、書類審査の段階で断られ面接までいけませんでした。覚悟はしていましたけど、当時40代、加えて未経験の業界に飛び込もうとしている自分にとって、やっぱり就職のハードルは高かったです」

そんな中、声をかけてくれたのが現在働いている「㈱桑原コンクリート工業」(通称 クワコン)だった。コンクリート製品の製造や販売を手掛ける会社だ。もちろん淺田さんにとっては未経験の仕事。それでも社長と話したところ、すぐに採用してもらえることになった。

住居に関しては様々なところに相談した結果、田村市に移住することを前提に賃貸アパートを貸してもらえることが決まった。

こうしてなんとか田村市での生活基盤が整った。

「自分は本当に運が良かったと思います。借りたアパートはJR船引駅の近くだったため、近くにスーパーもコンビニもあり、当初車が無かった時期でも生活に困ることはありませんでした」

「最初選ぼうとしていた住居は、桑原コンクリート工業からはかなりの距離がある場所でした。東京とは隣駅までの感覚が全く違うということも最初は知らなかったので、距離感がうまく想像できないんですよね。最終的に選んだ家はたまたま便利で会社からも近い場所でしたが、一歩間違えれば生活は今よりずっと大変だったと思います」

未経験からのスタート。コンクリート製造・販売会社での営業職にチャレンジ!

こうして田村市での新たな暮らしがスタートした。桑原コンクリート工業では、営業を担当することに。業界も職種も初体験、挑戦の日々が始まった。

「何が大変って、コンクリート製品の種類や名前を覚えるのが本当に大変でした。例えば私たちが普段『水路』と呼んでいるものは、『普通型側溝300』と言われることもあれば、『Ⅲ-A-C-30』と呼ぶお客さんもいます。また高さや大きさによっても名称が変わります」

入社当初は自社製品、他社製品合わせて500近いコンクリート製品を覚えることに必死だったそうだ。社長について町を回り、コンクリート製品(道路わきの側溝など)を見ては社長が「あれ何だ?」と言うので、名称を答えるという訓練が続いた。

「わからないことだらけでしたが、社長も常務も聞けば丁寧に教えてくれるので、しつこいほど聞いて確認するようにしていました」

入社して2年弱が経つが、今では20~30社の得意先を抱えている。

「社長からは『この業界は最初は覚えることが多いけど、その分1回できるようになればどこに行っても同じ業界で働くことができる』と言われました。クワコンは先日多額の費用をかけてコンクリート製造設備を新設するなど、勢いのある会社です。地域との関わりも強いので、早く1人前の仕事ができるようになって、会社や田村市に貢献できるようになりたいですね」

他にも山と田んぼばかりの「道」、方言強めの人の「言っていること」がわからないという問題は今でもたまに直面するが、そんな状況をも楽しんでいる淺田さんだ。

休日は夫婦で義実家の農業のお手伝いや旅行に。最近のブームは廃校での備品販売会巡り

とても忙しい仕事のようだが、淺田さんの勤務時間は8:00~17:00。家は会社から車で15分程のため、18:00前には家にいることが多い。

「東京で警備員をしていた時は12時間勤務の2交代制だったので大変でした。それから考えると18:00前には家にいるってやっぱりいいですよね」

休日には夫婦ででかけることが多く、奥様の実家でやっている農業を手伝ったり、近場の温泉や観光地を巡ったりしている。最近のブームは廃校になった学校で行われる備品の販売会を見て回ること。先日は校長室にあった立派な皮のソファや図工室にあるような椅子を買い、自分たちのアパートに持ち帰った。

移住検討者へひとこと!

「自分は本当に運が良かったと思います。桑原コンクリート工業は移住者に対する固定観念もないですし、芋煮会や暑気払いなど社内イベントも多いです。結果論ですが、職場から近い場所に家を借りることもできました」

桑原コンクリート工業での芋煮会の様子(ご提供:㈱桑原コンクリート工業)

淺田さんは自身の経験があるからこそ、田村市で仕事を探す人はある程度事前に目星を付けておいた方が安心と移住検討者にアドバイスします。

「先に住む地域を決めてしまうと、数社断られた時点で就職先がなくなってしまいます。また職場が変われば住む場所も変わってくるで、その辺りは、これから移住しようと思っている方には事前によくよく調べて、準備することをおすすめします」

夜の暗さや季節になると聞こえるカエルやコオロギの鳴き声には「田舎だなぁ」と感じ、寒さの厳しさや光熱費が高いことには「これが地方(東北)か…」と驚く。

新鮮な野菜や果物を食べて、毎日見上げる空はとっても広い。

良いことも驚くこともありつつ、そんな環境を存分に楽しんでいる淺田さんだ。

桑原コンクリート工業

住所(本社):福島県田村市船引町堀越字新田236
電話: 0247-85-2155
Web:https://kuwacon.com/ 
求人情報はこちらから
※桑原コンクリート工業では、一緒に働く仲間を募集しています