東京からの移住決意と結婚、そして震災を経ての田村での就農
稲福 由梨/6次産業農家
滝根町
IJU
私は東京都江戸川区の出身で、移住前は栄養士として学校給食を作る仕事をしていました。主人は東京でサラリーマンをしていましたが、NPO活動で田村市に来たことがきっかけで、田村市に移住し農業を始めました。 共通の知り合いを通じて主人が募集していた田植え体験に参加し、田村市の土地感や雰囲気が好きになって。夏の収穫や秋の稲刈り体験に参加していくうちに主人とお付き合いが始まり、2011年に結婚したことをきっかけに2012年に田村市に移住してきました。 実は結婚したのが2011年3月で、翌月の4月から移住する予定で仕事も決まっていたのですが、東日本大震災の影響で内定が取り消しになってしまって。結婚後の一年間は、夫は田村市在住、私は東京から田村に通うという「遠距離新婚生活」を送っていました。 翌2012年に私もようやく移住となったわけですが、生業にしようと思っていた農業が、震災の影響で難しい状況になってしまって。「他の生業を探さなければ」ということで、加工品工場を立ち上げることになったんです。この工場では、地元の農産物からジャムや黒米甘酒、えごま豚みそなどの加工品を製造・販売していて、私自身も料理教室の講師をしたりしています。
充実した田舎暮らしは、ちゃんと“忙しい
移住してみて思ったことは、都会と違って通勤ストレスがなく、空気が澄んでいて、しかも蛇口の水が美味しい。交通の便も悪くないし、買い物も不便なく田舎暮らしができている。けれども思ったよりも忙しないな〜と。充実した毎日を過ごしています。 地元の方が移住者を毛嫌いすることなく受け入れてくれて、農業だけでなく田舎暮らしについて教えてくれる師匠もいて、とても心強いです。主人も地元の若連会に入れてもらい幅広い年代の仲間ができたことで、田舎ならではの濃い繋がりを持つことができました。 また皆さん震災を経験された中で、それでも頑張ろう!と奮闘されていて、私も田村市で頑張ろうと思えます。 強いて言えば、昨年子どもが生まれたので、もう少し子育てのイベントや集まりに力を入れてもらえると、さらに住みよいかなと思います。
農業をもっと身近にするために。「農家民宿」が次の目標
これからは田舎暮らしや里山暮らし、農業に気軽に触れる機会や拠点として、農家民宿をやりたいと思っています。料理をするのが好きなので、そこで料理を振る舞ったり一緒に料理を作ったりしたいですね。田舎に住むのは大変だけど、たまに来るのは楽しいという人もいるので、そういう方の羽を伸ばせる場所としても提供したいです。 田村市にはチャレンジハウスがあるので、移住を考えている人は試しに住んでみると良いと思います。私も移住する前は仕事があるのか不安でしたが、住んでみると意外となんとかなる。周りの人も何かしらお仕事していますよ。色々な出会いで仕事が生まれたりすることもあります。起業を考えている人は政策として起業家への補助事業が充実しているし、都会よりも競合相手が少ないので良いところがあれば挑戦しやすいと思います。農業を考えている人は、農業だけじゃなくてたまにアルバイトをして生活費をまかないながら好きなことをする生き方もありだと思います。まずはやりたいことを少しずつやって広げていけばうまくいくのではないかと思います。まずは来てみれば何か感じるところがあるかもしれません。