市民も移住希望者も出店料0円！地元に愛されるお店で新しい一歩を応援するチャレンジショップ『ふらっと』

チャレンジショップふらっと

船引町

新しく移り住んだ場所でなりわいを起こしたい、アイデアを形にした商品を売ってみたい。
でも、いきなりお店を構えるのはハードルが高いし、そもそも売れるのか不安…。

チャレンジショップとは、こうした「やりたい」という思いと「できないかもしれない」という不安な気持ちの間をつなぐ、お試し開業ができる施設です。田村市でも2023年7月にチャレンジショップふらっとがスタートしました。移住や今後の開業を目指す方をはじめ、誰でも使えるふらっとは、一体どんな場所なのでしょう？運営事務局である一般社団法人Switchの担当者に話を伺いました。

なぜ田村市にチャレンジショップを作ったのか

田村市に移住して新しい取り組みをしたいと考えている方が市場調査を行う場として、チャレンジショップを作ることになりました。やりたい事業が田村市という地域で求められているものなのかを事前に検討できる場を作ることで、移住促進につなげるという目的があります。現在は移住したい方をはじめ、すでに移住した方や、市内・近隣地域にお住まいの方など、幅広く出店いただいています。

チャレンジショップふらっとは、市内で最も人口が多い地区である船引町の商業施設「ふねひきパーク」の空きテナントを活用しています。当初はJR船引駅前商店街の空き店舗を活用できないかとご説明に歩きましたがなかなか見つからず、悩む中で「ふねひきパークはどうだろう？」というアイデアが出たんです。ふねひきパークといえば、ほかの商業施設が増える中でも、変わらず市民のお買い物の中心として30年以上親しまれている場所です。管理・運営をされている株式会社清水商店さんにご相談したところご快諾くださり、開設に向けて具体的に動き始めました。

使い方や内装は、地域の方々の参加型で決定していきました。Switchだけで決めることもできましたが、これから実際に利用する地域の方々と一緒にアイデアを出し合うことで、愛着を持ってもらえる場にしたいと考えたんです。使い方を考えるワークショップでは「休憩スペースがあったら子連れで出かけやすい」「座れる場所があると嬉しい」など、利用者目線でのさまざまな意見が出ました。こうしたアイデアをもとにスツールや棚といった場に必要な什器を考え、組み立てや塗装もワークショップを開催して皆で手作りしました。

どんな什器が必要かを1から考え、みんなで組み立てる「ものづくりワークショップ」の様子

次々に生まれる、ふらっとならではのチャレンジ

「多くの人に親しんでもらえるように」という気持ちをこめて名付けられたチャレンジショップふらっとは、出店手数料・利用料が0円、SNSやWebサイトでの広報や出店前後の相談といった面でSwitchのサポートを受けながらチャレンジすることができます。市の事業として行っている場であることも、利用における安心材料になっています。

建物の用途の都合上、一般的なチャレンジショップで行っているような飲食や調理はできません。しかし不特定多数の方が訪れるという特徴を生かし、地域の方と交流できる場としていくこと、販売だけでなく展示や講座、ワークショップといった様々な種類のチャレンジを生むことに目を向けています。

機材を持ち込み、スマホの写真からオリジナルマグネットやカレンダーを作るサービス。ご家族で出店し、お子さんたちも「自分で売り物を考え、自分で稼ぐ」にチャレンジ

2023年11月現在で10件ほどの出店があり、中でも一番多いチャレンジは「自分の作品を売りたい」というもの。バッグやアクセサリー、ベビー用品といったハンドメイド作品での出店です。ハンドメイド作品の出店者さんは各々でしっかりSNS発信をされている方も多く、その発信を見た方が次の出店を申し込むという流れが生まれています。先日いただいた出店お申し込みはなんと整体屋さん(ボディケア&ドライヘッドスパ)で、予想していなかったジャンルで驚きました。

ふらっとがスタートしたことで、「出店できる場があるなら活用したい」というニーズが地域にあることが分かりました。自発的に出店し発信するという利用者さんのスタイルが、私たち事務局の知らないところでふらっとの認知を広げ、人が人を呼ぶ形で利用者が増えているところです。

チャレンジは不安と隣り合わせ。やってみるからこそ見える景色がある

継続出店する中で変化があった方もいらっしゃいます。ハンドメイド作家さんのグループ出店があったのですが、そのうちのお1人が後日、別の作家さんを集めてグループ出店を申し込んでくださいました。最初の出店では「代表の人に誘われたから来た」という雰囲気でしたが、次はご自身が代表者となり、事前のお打ち合わせには「うまくできるかわからないけれど…」と資料持参で臨んでくださったんです。どこか他人任せだった前回とは表情がまるで違っていて、覚悟を決められているように感じました。迎えた出店当日、その方は作品が売れるだけにとどまらず、受注につながっていました。当日の売上も大事ですが、チャレンジされた方にとって大事な経験を持ち帰ることができる、そうした場としてふらっとが役立っていると感じられて嬉しかったです。

就労支援施設さんの出店でも驚くことがありました。施設では仕事で必要なスキルを身につける就労訓練の一貫としてお菓子などの商品を作っていますが、「作った商品を販売する場所がない」という課題を持っており、ふらっとを活用した店頭販売にチャレンジすることになりました。しかし出店を具体的に考える中で、出店可能な日は平日のみ、販売にそこまで施設の人員を割けないといった制約も見えてきて、施設の担当者の方は出店をネガティブに捉えかけていました。ところが施設の所長さんが、ポスターを貼ったり、周囲に出店することを呼びかけてくれたりと積極的に動かれ、これが功を奏して出店当日は予想より売上があがったんです。これには担当者の方も嬉しい驚きで、先日再度出店したいとご連絡をくださいました。不安はあれどまずは前向きにやってみることで、得られる経験や結果があるように感じます。

開催後に必ず取る出店者アンケートでは、「初めてで右も左もわからない中、一緒に考え丁寧にサポートしてもらえてありがたい」といった、安心を感じているコメントが見られます。「やってみたいけどどう形にしていいかわからない」という潜在的な利用ニーズを持つ方々もサポートすべく、先輩利用者さんに来ていただくワークショップも開催しています。

ふらっとのこれから、田村市のこれから

スタートして約半年が経ったふらっとは、地域の方を中心に様々なチャレンジが生まれています。「私もやってみようかな」というチャンレンジ文化のタネが生まれているようで、地域にとって良い作用ですし、場として成長していると感じます。

今後は移住を検討している市外や県外の方にも利用していただきたく、そのためにもふらっとの認知をさらに広げていきたいです。移住を検討している方に「チャレンジショップに出れば地域でつながりを作ることができる」と思っていただけるよう、出店者同士や、出店者と訪れた方をつなげていくことを、これからも続けていきます。

ふらっとがあることで、田村市を「いろいろなチャレンジが生まれるまち」にしたいですね。利用者が生まれれば生まれるほど、田村市にチャレンジが増えたということでもあります。Switchのビジョン・ミッションである「人生を楽しめる場所がここ(田村)にある」「活躍できるフィールドをここ(田村)につくる」を実現することにもつながると思っています。新しいなりわいを起こしたい方はもちろん、すでに事業を営んでいる方も、これまでやったことがなかった新しい何かにチャレンジする「一歩踏みだす場」として、これからも活用していただきたいと思います。

田村市のチャレンジショップふらっと

住所: 福島県田村市船引町船引字原田9 ふねひきパーク2階
営業時間:出店者ごとに異なります(最新情報はこちら)
駐車場:あり
運営:【委託元】福島県田村市【受託】株式会社ジェイアール東日本企画・一般社団法人Switch
HP:https://tamura-iju-housing.com/flat
お問合せ:フォームよりお問い合わせください。
※ふねひきパークへの直接のお問い合わせはお控えください。
※出店希望の方はこちらをご覧ください。