空き家リノベーションの一棟貸しゲストハウス。田舎暮らし体験、出張や合宿でも利用可能な「万屋今年田」

万屋今年田

船引町

GUESTHOUSE

今、日本全国で社会問題となっている「空き家」。ここ福島県田村市でも、それは例外ではありません。空き家の相談は年々増加しており、2018年の調査では市内の空き家数は1,490戸にのぼるという統計が出ています。

社会問題と言われる空き家ですが、アイデア次第では新たな価値を生み出す大事な「地域資源」でもあります。田村市では、空き家や古民家をリフォーム、リノベーションし、カフェやレストラン、資料館、オシャレな住宅として生まれ変わった「元空き家」がたくさんあります。

今回はそんな「元空き家」の中から、地域に愛された商店が惜しまれつつも閉店し、ゲストハウスへと生まれ変わった「宿泊仕事場 万屋今年田(よろずやこんねんだ)」について、ご紹介します。

「万屋今年田」を管理、運営する一般社団法人Switchにお話を伺いました。

きっかけは「あったらいいよね、こんな場所」

現在一棟貸しのゲストハウスとして営業している「万屋今年田」。元々は地域の人たちの生活用品や駄菓子などを取り扱う「万屋」でした。時代の流れと共に空き家となり、10年以上が経過。そんな物件に目を付けたのが、地域の交流・賑わいづくりや地域課題の解決などのまちづくりに取り組んでいる一般社団法人Switchでした。

リノベーションする前の万屋外観

「まちづくりをやるには、自由に使える拠点のような場所があると活動しやすいよねという話はよく団体内でしていました。首都圏に住む関係者が宿泊に使ったり、田村市に見学に訪れた人が気軽に泊まれたり。そんな時、たまたま出会ったのが万屋でした。駅まで徒歩10~15分と利便性も比較的よく、築年数は約50年(当時)、そして値段もお手頃。とんとん拍子で話は進みました」

しかし長年空き家だったため、屋根や外壁には大掛かりなリフォームが必要でした。また元オーナーの荷物も残されていたため、荷物整理から取り掛かる必要がありました。

リノベーションする前の万屋内観

一大プロジェクト。自分たちで行う「空き家の改修」

少しでも費用を安く抑えるため、できるところは自分たちの手で、失敗が許されないところはプロの業者に任せようということで、一大プロジェクト「空き家の改修」が始まりました。

福島県の南会津から招いた空き家改修の専門家にアドバイスをいただきながら、田村市地域おこし協力隊が中心となり、当時インターンに来ていた大学生2人と一緒に壁、床、天井を文字通り「破壊」していきました。

床、壁、天井の解体作業

解体作業には2、3か月を要しました。その間には、興味をもった地元の人が「俺も手伝う」と空き家の改修に参加してくれるなど、うれしい出会いもありました。

地元の協力者

破壊の後は、プロの業者によるリフォーム作業。基本的な間取りはそのままに、床には田村市特産の「田村杉」を使用。内装は、来た人が落ち着いて仕事や生活ができるよう、壁紙などはせず、木の温もりを感じられる仕様にしました。

リノベーション後の万屋今年田ダイニング

「実をいうと、その方が費用も抑えられたんです。できるところは極力自分たちで改修したのですが、それでも最終的には600万円前後のリフォーム代がかかりました。ちょうど福島県が移住・定住促進のため、遊休施設の改修に補助金を出していたので、そちらを利用して今回の改修を行いました」

人と人が出会い、集い、交流する新たな万屋が誕生

半年近くの改修期間を経て、地域に愛された万屋は、ついに新しい形となって再オープンしました。

リノベーション後の万屋今年田外観

元々店舗だった2階は、テレワークスペースとしても使える仕事場に、住居として使っていた1階は、田村市を訪れた人が気軽に使える宿泊スペースに。見た目は新しくなった万屋ですが、人が出会い、集い、交流する場所としての役割は、今後も変わることはありません。

2階テレワークスペース
1階宿泊スペース

テレワークスペースのみを利用することもできますが、基本は一棟丸ごと借りる人がほとんど。1日約8,000円(2023年4月現在。宿泊時期、期間により金額が変動)で一棟借りられるので、3,4人で泊まればかなりのお手頃価格で滞在することができます。

「田村市に観光に来た家族連れが利用されることが多いです。安く抑えられる費用に加え、子どもが泣いたり叫んだりしても、旅館のように隣の部屋の人を気にする必要はありません。少し足を延ばせば大自然と触れ合うこともできるので、自然の中で子どもをのびのび遊ばせたいという方にはおすすめです。

あとは都会のビジネスマンが、ビジネスの拠点として1,2か月の長期で滞在することもあります。2,3人で来て、おそらく自然の中で仕事をしながら、ビジネスアイデアを出しているのではないでしょうか」

進化を続ける万屋今年田

時代を超え、形を変えてもなお人々が集まる万屋。(一社)Switchの中では、現在のゲストハウスとしての活用以外でも様々なアイデアが出ているそうです。

「元々の『人々が集う地域の万屋』という立ち位置を大切に、地元の人も、田村市を訪れた人も、色んな人が集まり交流できる場所にしていきたいと思っています。以前の万屋に慣れ親しんだ地域の方にも、『新万屋』として変わらず愛着をもってもらえたらうれしいです」

万屋今年田のすぐ横には、時折走るローカル鉄道

ゲストハウスとして生まれ変わった「元空き家」の万屋今年田。観光旅行、田舎体験の宿泊場所として、ぜひ一度泊まってみてください。

田村市には、空き家の購入や活用について相談できる「田村空き家の窓口」、そして田村市への移住について相談できる「たむら移住相談室」があります。興味のある方は、一度ご相談ください。

万屋今年田について

住所:田村市船引町船引字今年田4番1
予約サイト:airbnbよりご予約ください(一棟貸しのみ)
管理・運営:一般社団法人Switch
電話: 0247-61-7575
メール:info@switch-terrace.com
※テレワークスペースのみのご利用も可能です。上記連絡先までご相談ください。

【万屋今年田の備品・サービス】

タオル、石鹸、トイレットペーパー、シャンプー、コンディショナー、化粧水、乳液、ドライヤー、食器類、最低限の調理器具、洗濯機、電子レンジ、Wi-Fi、大型モニター、プリンター 等
※パジャマ、着替え、歯ブラシの用意はありません。備品・サービス内容についての詳細は、お問合せください。

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