まるで田舎のおばあちゃん家。小上がりの和室で地元の方との交流や手作り雑貨を楽しめる交流拠点『ハイリャンセ』

ハイリャンセ

常葉町

福島県田村市の中心に位置する常葉町。個性的なお店が立ち並ぶ常葉町商店街の一角に、お年寄りから子どもまで、ふらっと立ち寄れるコミュニティスペース「ハイリャンセ」はあります。元々酒屋だった家の暖簾をくぐると、見事なつるし雛がお出迎え。ぐるっと見渡すと、奥の和室では地域のお母さんたちが手芸をしており、手前のテーブルには子どもたち向けにゲーム機やボードゲームが置かれています。なんだかおばあちゃんちに帰ってきたような、そんな懐かしい雰囲気に包まれた常葉町の交流拠点です。

そんなハイリャンセについて、管理者の小沼かよ子さんにお話を伺いました。


Q. ハイリャンセができたきっかけは何ですか?

2011年に起きた東日本大震災がきっかけです。原発事故により先の見通せない状況が続いていたこの町に「地元住民や常葉町を訪れた人が、ふらっと立ち寄れる拠点を作ろう」と、2012年にオープンしました。特徴的なのは、田村市、地元住民、東京大学の「官学民」が共同で行っていた「まちづくり社会実験」の一環として立ち上げた施設であるということです。計画段階から地元の人たちと建物の改築や運営方法について話し合いが行われ、準備が進められました。多くの大学生がハイリャンセ立ち上げのために常葉町まで通ってくれて、空き家だった元酒屋のこの建物を、掃除や壁塗りなど、地元住民と一緒に汗を流して改装しました。

建物の名称は公募で決まりました。200件近い応募の中から、「誰でも気軽に入っておいで~」という意味を込めて「ハイリャンセ」に決まりました。

ハイリャンセ名物のつるし雛。遠方からもお客さんが噂を聞きつけてやってくる

Q. どのような活動をしているのですか?

地域団体によるサークル活動や、町中カフェ、イベントの開催等を行っています。その他、お茶飲みスペースや遊び場、勉強部屋など、誰でも気軽に立ち寄れるよう場所の開放も行っています。

例えば地域団体によるサークル活動では、健康体操教室や、「ときわ木の会」というハンドメイドのモノつくりサークルが活動しています。ときわ木の会が制作する「つるし雛」は大変な人気で、毎年2月から3月にかけて、ハイリャンセを会場にしたつるし雛展を開催しています。またハイリャンセでは常時つるし雛を中心とした手作り雑貨を販売していて、田村市に赴任したALT(英語授業のアシスタント)の先生や、東京から里帰りした人がフラっと立ち寄って、お土産として買ってくれることもあります。

モノづくりサークル「ときわ木の会」の制作現場。作りながらも、笑い声の絶えない明るい空間。

子どもたちに向けた場所の開放も行っています。
近くに小中学校があることもあり、小上がりになった和室を1部屋勉強部屋として開放しており、放課後には、小中学生が宿題をやる姿が見られます。また勉強でなくとも気軽に立ち寄れるようにと、ゲームスペースも設置しています。Nintendoのテレビゲームや、ボードゲーム(将棋など)が置かれており、放課後、親が迎えに来るまでの間、ここで遊んで待っている子どもたちもいます。

備え付けのゲームは誰でも使用可能。【写真ご提供:田村市復興応援隊】
独立した勉強スペース

月1回、第3日曜日に実施している「町中カフェ」では、1時間(コロナ前は2時間)の間に体操や絵本の読み聞かせ、紙芝居、昔話などを行います。参加費が100円ととてもお手頃なため、15名の定員は毎回満員です。毎月参加することを楽しみにしてくれている方もいますし、「友達に誘われて…」と初めて参加する方もいて、参加者は様々です。

町中カフェの様子。【写真ご提供:田村市復興応援隊】

あと力をいれていることと言えば、イベントの開催でしょうか。
年配の方に向けたスマホ教室や、子ども向けに団子挿し(木の枝に団子を指す小正月の風習)、親子向けに白いコーヒーカップをシールでデザインしていくポーセラーツ教室など、大なり小なり、月に1回程度は何かしらイベントをやっています。他にもPPバンドのカバン作りや、昭和レトロな生活用品等を展示した「出張小さな歴史資料館」等、みなさんが楽しんで参加してくれそうなイベントを日々考えて開催しています。

出張小さな歴史資料館での一コマ。【写真ご提供:田村市復興応援隊】

Q. 今後取り組みたいことは何ですか?

より様々な世代の人が「ふらっと立ち寄れる」場所にしたいですね。年齢の違う人と話すのはお互いに新しい気づきにつながりますし、同世代と話すのとはまた違う気遣いが必要です。お互いに学ぶことも多いですよね。今はパパママ世代の関わりが少ないなと感じているので、今後はよりパパママ世代にも関わってもらえたらいいなと思います。そのために、親子向けのイベントの企画や、パパママ世代向けに子ども服を交換できる機会なんかを作っていけたらと思っています。昔ながらの駄菓子コーナーも置きたいなと考えてはいるのですが、色々課題があるので、引き続き検討していきたいなと思っています。

ハイリャンセの中には、立ち寄った人がおすすめの場所を自由に書き込める常葉町商店街周辺の地図が。

お話を聞いている最中にも、奥のお母さんたちが「お茶飲むかい?」と声をかけてくださったり、「お人形様(田村市の守り神)の置物まだあるかい?」と作品を買いにきた馴染みのお客さんと話が盛り上がったり、交流が絶えませんでした。

核家族化が進んでいる昨今、こうしてお年寄りも子どもも、安心してふらっと立ち寄れる多世代交流スペースがあるというのは、田村市の魅力の1つだなと思います。
田村市に来た際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

ハイリャンセで販売されているハンドメイドの雑貨類

ハイリャンセについてのお問合せ

ハイリャンセ
住所:福島県田村市常葉町中町32番
電話番号:080-5842-1468
休館日:土・日曜日(イベント時を除く)
営業時間:9:00~17:00
駐車場:なし(近所に無料の市営駐車場あり)
運営:NPO法人くらスタ

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