【開催報告】福島県田村市 農業体験の「7つのポイント」−農家さんに聞いてみよう!−

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EVENT REPORT

2023年6月28日(水)に、農業体験中に気をつけることや農家さんに聞いてみたほうがよいことなどについての疑問を解決するための、オンラインイベントを開催しました。

地方移住をして新規就農をお考えの方にお勧めな『農業体験』。移住先の候補である地域へ短期間移住し、実際にその地域で農業を手伝いながら、栽培方法などについて学べます。田村市内でも多くの農家さんが希望者の受け入れを行なっていて、今回ゲストにお呼びした新田ファームの新田浩さんも、そのお一人です。そんな新田さんに、実際に農業体験に参加する上でのポイントについて詳しくお話しいただきました。

ゲスト:新田ファーム 新田浩さん
福島県トップクラスのピーマンの生産と、クラフトビールのポップを栽培しています。

田村市役所農林課 堀越健太さん
新規就農者向けの相談窓口や就農後のアフターサポートを中心とした業務をしています。


実りある農業体験にするために!事前に知っておきたい7つのポイント

5年前にサラリーマンを退職して農業を開始した新田さんは、誰も作ってないものを作りたいという想いから、福島県内では生産数が0になっていたホップに目をつけ、ポップ作りを開始。高い棚を作って高所作業車で作業するイメージがあるホップですが、新田さんは色々な方と意見交換を重ね、安全性と利便性を図りながら作業ができる日本でただ一つの施設を作りました。その他、ピーマンをハウスにて栽培し、1~2年で元が取れるほど収益を上げました。現在は奥様とパートさんと共に農業を行っていらっしゃいます。さらに、農業体験希望者の受け入れも行なっている新田さんに、農業体験を行う上でのポイントについて教えていただきました。

■農業体験するために農家さんに聞いておきたい7つのポイント

①体験する作物について事前に調べる
「農業体験をするタイミングでは、漠然と農業をやってみたい方、本格的にやってみたいと覚悟している方など、心構えは様々だと思います。しかし、自分でどんな作物を作りたいのか、何を目的にするのか、育てたい作物の特徴や品種、栽培に合う気候、育てやすい土壌や作付けから収穫までの期間、大まかな育て方など、表面だけでも少しでもいいので自分が調べられる範囲で調べてきてくれると、こちらも助かります」

②体調管理方法を考える
「農業において、体調管理はとても一番大切なことだと思います。農業を始めたばかりの人は、張り切って楽しさのあまり休憩も取らず無理してやってしまう人もいます。でもそれは長続きしません。私がお勧めするのは、一人でもいいからパートさんを雇うということです。他に雇っている人がいると休憩をきちんと取るようになり、時間にメリハリがつきます。標高が高い田村市でも夏になると気温が30度を超える日もあり、直射日光の下では体力がかなり奪われ、いくら体力のある人でも、これが毎日になってくるとかなり体力が落ちてきます。睡眠、食事を充分に取り、無理をしない。終了の時間が迫っている時は、仕事が少し残っていてもそこで切り上げることが大事です」 

③扱っているのは”商品”いう意識を持つ
「私たち農家は野菜を売って生計を立てています。野菜を落としたり傷つけたりしたら出荷できなくなってしまうため、野菜を丁寧に扱ってもらいたいのです。せっかく実った作物なので一つでも多く出荷したいですし、一つでも多く食卓に並べたいと思っています。農業体験中に分からないことがあるのは当然なので、そういう時は遠慮せずに研修先の人にどんどん聞いてください。分からないことを分からないままで作業をせず、細かいことでもいいから、しつこくてもいいからその時に尋ねることが重要です。自分が就農した時のイメージを意識付けるのも大切ですね」

④農家さんとのコミュニケーションをたくさんとる
「体験期間中は、農家さんと会話をする機会を持ってもらいたいのです。苗植えから収穫するまでどれだけの苦労があったか、どんな想いで農業をしていて、どんな苦労があるかは、目には見えないので。寝る間を惜しんで夜中にシートをかけたりなどの苦労話は、会話の中でしか知ることができません。そういう苦労があるからこそ収穫に対する楽しみがあるのです。そこをあえて質問して聞き出してみてください」

⑤農家さんの工夫をしっかりチェックする
「農家さんが効率化を図るために工夫していることに注目してもらいたいですね。例えば、うちではピーマンの苗を植える際に潅水用のホースを一緒に埋めて、水撒きの人件費削減を図っています。また、ピーマンの苗は2~3mくらいまで伸びるので、通路の確保のためにネットを張ったりして工夫をしています。どの作物も大きくなればなるほど木か疲れてくるため、できるだけ早めに収穫できるように人を雇って収穫しています。その農家さんそれぞれの工夫があるので、貴重な情報として聞いておいた方がいいでしょう」

──常日頃、気にかけていることはありますか?
新田さん:天候だけは一日に何度も確認しています。風の強さや日差しの強さなどもですね。ハウスと露地の両方を持っているので、晴れの日は露地を、雨の日はハウスでの作業をしようと心がけています。

⑥地域の気候・地理・特性などの特徴を知る
「その地域にあった作物が何かを知ることが大切です。それと作物は水がなくては作れません。一人では水撒きしきれないので、うちでは自動化してそこに経費をかけています。あとは、一番怖いのは風ですね。細い根が折れたりするとそこから病気になったりしますし、かといって風が抜けないと病気が発生する。駆け引きが難しいところです。こればかりは現地に行って体験してみないとそれは分かりません」

──もしも田村市で農業をしたいとなったとき、その土地の気候に合わない作物を作りたい時はどうすればいいですか?
新田さん:そういう場合は、その環境を作るしかありません。その作物を栽培できるような温度や湿度を保てる施設を作れれば不可能ではありませんが、設備投資のために資金を準備する必要もあるので、最初はその土地にあった作物を作ってお金を貯めて、徐々に最終目的に近づけていく方法もあります。

⑦地域の暮らし心地を確かめる
「田村市は街までは距離があるため、生活する上で車は必須になってきます。しかし、その分、移動コンビニや食材の配達などが発達しています。地域の方たちの雰囲気などは現地に来て実際に確認してほしいポイントですね」


実際に田村市で就農したいと思ったら

──起業するまでの手順は?
農業体験を通して実際に田村市で就農したいとなった場合に、まず最初に相談に行ってほしいのが田村市役所の農林課です。今回は田村市役所農林課の堀越健太さんにもお越しいただき、田村市での農業にお勧めの作物や、就農する前の確認事項についてお話を伺いました。

■田村市で就農する際にお勧めの作物
◎ピーマン
福島県内一の生産量。産地化されており、物量勝負ができる(ブランド化されている)、指導体制が整っていて技術習得がしやすい、露地栽培から始められるため初期投資が抑えられる

◎トマト
品種が多く売り方に幅がある、販売単価が高値で推移している、指導体制が整っていて技術習得がしやすい、収穫終了後の冬期はパイプハウスを活用して葉物野菜などの栽培が可能

◎畜産
研修施設や雇用の受け入れ先あり、震災前に比べ牛の売値が1.5倍で推移


■就農する前にチェックしておくべき項目
・就農前までには十分な準備期間を確保する
・就農、生活するための十分な資金があるか
・就農前に十分な技術を習得する意向があるか
・地域との関わりを積極的に持つ意向があるか
・農業経営計画や将来の展望に関する計画書を作成する意思があるか


また、田村市には農業研修先や支援事業、補助金などの制度が充実しています。移住前に調べておき、条件などが合えば積極的に活用していくことをお勧めします。

たむら暮らし(支援制度・補助金紹介ページ)


充実した農業体験で、より良い就農ライフを!

福島県田村市では、地方移住と就農を考えている方に向けた
「現役農家から学ぶトライアル農業」を実施しています。

・受入期間は2023年6月30日(金)~2024年2月29日(木)
・期間は2日以上1ヶ月以内
・現役農家さんのもとで学べて、オーダーメイドでプランの作成が可能
・宿泊先として①市のお試しチャレンジハウス(利用料300円/1日)、②簡易民宿施設「万屋今年田」(利用料1,500円/1日)などの利用が可能

詳しくはリンク先をご覧ください。

農業のノウハウだけではなく、その地域の魅力や特徴も学べる「農業体験」。移住後の就農生活をより充実させるためにも、事前にきちんと情報を集め、実りあるトライアル期間をお過ごしください!

今回もたくさんの方にご参加いただきました。参加者からは、
・7つのポイントが参考になりました
・農業のポイントを教えていただきました
・一人でもアルバイトさんやパートさんを雇うと時間にメリハリがつくということが参考になりました
との感想をいただきました。

たむら移住相談室では今後も、田舎での暮らしを満喫されている方や活躍する地域プレーヤーをゲストにお迎えしてオンラインイベントを行います。ぜひ今後の情報もチェックしてみてください。

たむら暮らしイベントページはこちらから!