【開催報告】福島のパイセン移住者とつながる  第5回「地方移住×起業×子育て」の”あれこれ”を語る会

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EVENT REPORT

2023年3月17日(金)に、地方への移住と起業、そして子育てを経験した福島の先輩移住者からお話を伺うオンライントークイベントを開催しました。


今回のゲストは出産を機に千葉県から福島県田村市へと移住し、自身で事業まで起こした「名嘉村まりこさん」。首都圏で忙しい日々を送っていた名嘉村さんが田村市に移住を決意したきっかけや、『起業』するまでに至った経緯などについてお話していただきました。

ゲスト:名嘉村まりこさん幼少期は首都圏で過ごし、高校3年間は福島県富岡町で過ごしたが、その後就職を機に上京。 結婚し仕事で忙しい日々を過ごすうちに働き方や子育てについて考えるようになり、移住を検討。 父親が営む田村市の工場で夫が働けるようになり移住を決意。2018年に千葉県から移住した後、2019年に1度使ったものを再利用する「リユース」事業を開始。出張買取、生前整理、遺品整理などを通して使わなくなったものを買い取り、販売を行っている。

二週間で実現した超スピード移住!?

─田村市に移住しようと思ったきっかけは?

名嘉村さん:新卒で入社した会社を数ヶ月で辞めた後、派遣社員として仕事をしていました。結婚して子供ができたのを機に、田舎で子育てがしたいと考えるようになり、夫婦どちらかの田舎に移住することを検討し、2018年に千葉から田村市に移住してきました。始めは賃貸を探していたのですが、子供の賑やかさを許容してくれるかどうかが不安でした。そんな時、実家の父から突然「土地を買った」と連絡が。そこからあれよあれよという間に、移住が決まっていきました。引っ越すことが決まり、実際に田村市に来るまでの期間は二週間ほどだったので、現地の下見はできませんでした。これから移住しようと思っていらっしゃる方は、しっかり余裕を持って下見することをお勧めします。

─どうして移住先で起業しようと思ったのですか?

名嘉村さん:こっちに来てからは友達が全くいない状態でした。元々営業職だったので、人との関わりがないことに絶望していましたね。子育て中に孤独を感じてしまい、アルバイトを探し始めたのですが、都内での派遣時代の時給と地方でのアルバイトの時給の差に驚愕してしまいました。ハローワークなどで仕事を探したりもしましたが、働きたいところがなく、また子供もまだ小さいため働いていてもいつ呼び出しがある分からないこともあり、それなら自分で事業をやってみようかと考えたのです。

実際に移住先で起業してみて

─起業するまでの手順は?

名嘉村さん:子供を産んで半年くらいで、とりあえず「便利屋」として開業届を提出しました。元々派遣の仕事をしながらフリマアプリを使って副業を行なっていたのですが、身の回りに売るものがなくなってしまったので、仕入れのために古物商の資格を取って、出張買取のオンラインショップを開設しました。開設後は、リサイクルショップなどの出張買取のスタッフが男の人だと不安だという高齢の女性などから、指名をいただくようになりました。その後不要品買取のほか、遺品整理や倉の整理、部屋の模様替えなどにも呼んでもらえるようになりました。

古物商の資格を取ったりショップ開設の準備をしたり、開業までに全部で三ヶ月くらいかかったかな。税務署にも書類提出だけで、古物商の資格もオンラインで2万円ほどで取れたので、初期費用もそんなにかかりませんでした。仕入れも少しずつ始めて、徐々に販売する範囲を拡大していきました。商工会議所にも入り、地域のイベントなどに積極的に参加することで地元とのつながりも増えてきましたね。

─法人化はされていますか?

名嘉村さん:法人化はしています。はじめは個人事業主として2019年に開業しました。数年後にリサイクル系の新聞に掲載されたり、リサイクル系のテレビに呼ばれたりと追い風に乗っているように感じられましたね。そんな中、知り合いの方に「お店をやりたいのなら、土地と建物があるから購入しないか」と言われ、顧客からの信頼を得るためにもきちんと店を構えようと思い、法人化を決意しました。

─役員報酬はありますか?

名嘉村さん:役員報酬は0です。今はまだ子供が小さいため、夫の扶養に入っている状態です。私はスモールスタートで地道に積み上げていくスタイルだったので、まだ法人化には早かったかもしれません。資本金も50万くらいで会社はできたのですが、事業計画も立てたことがないので、今考えると個人事業主でもよかったなとは思います。年商で1000万円を得られるくらいになったら、税金の面でも信頼感の面でも法人化を考えるのが良いかもしれませんね。

─前職と現在の収入差はどれくらいありますか?

名嘉村さん:子供を産んだということもあり、前職と同等の収入は望めないとはあらかじめ思っていました。一緒に移住した旦那さんの場合は半分くらい収入が少なくなっていますね。

─生活に支障はありませんか?

名嘉村さん:移住前はお酒飲むのが大好きだったので週8くらいで飲んでいて、時間もお金も全部自分のために使っていました。しかし、今は子供中心の生活になり、飲みに行くこともなくなり、生活形態がガラッと変わりました。独身だったら「前と同じくらい稼がなきゃ」と思っていたでしょうね。今は副業で清掃の仕事や占いをして小さな収入を得ているのですが、独身だったらそれらをもっと拡大していたと思います。
今は地域の活性化やつながりなど、ある意味将来への貯金を重視しているのでプライオリティが変わってきていますね。

熊谷(司会者):私も移住してからは前職よりも収入は下がりましたが、飲食費や娯楽費が減ったり、ご近所から野菜をもらったりしているため生活に支障はありません。

─店舗はあるのでしょうか?

名嘉村さん:店舗はなく、全てネット上のモールを利用しています。手数料は高いのですが、そうしたサイトは利用者数が圧倒的に多いので活用しています。また私はサイトを長期間利用しているため取引数も多く、それが信頼度に繋がっています。売れれば媒体はどこでもいいと思っています。

─移住に関して段階的な措置はあるのでしょうか?

熊谷(司会者):たむら移住相談室というものがあり、田村と渋谷に2つの窓口があります。ご相談いただければ、住居や仕事の探し方、支援制度などについてご案内しています。現地の生活を見たいという方に対して、オーダーメイドの現地視察ツアーなどを組んでご案内することもできます。また移住希望者が格安で宿泊できる「チャレンジハウス」という施設があるため、そちらも利用して「お試し移住」をしていただくことも可能です。各市町村の移住支援制度などは、年度はじめに発表されると思いますので、そちらも確認していただくとよいと思います。

─移住先で開業するにあたり、何か支援制度はあるのでしょうか?

熊谷(司会者):田村市に移住して起業する場合、「田村市創業スタートアップ支援事業補助金」(https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/66/soogyousutatoaxtupu.html)という支援制度が利用できます。田村市役所HPに詳細が記載されていますので、そちらをご確認ください。応募要件などはありますが、上限50万円の補助があります。福島県にも起業支援金( https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/11050a/fuku12-kigyoushienkin.html )がありますので、そちらの活用も可能です。※制度詳細は4月初旬に更新予定です。

名嘉村さん:私は思い立ってから一ヶ月ほどで開業届を出したのですが、県や市に起業支援制度があったことに気づかなかったため利用しませんでした。利用できるならしたほうがいいです。

ライフスタイルとともに変わっていく考え方

行動力と瞬発力を兼ね備えた、バイタリティあふれる名嘉村さん。そんな彼女に、これから移住や起業を考えている人に対するアドバイスと、これからの目標についてお尋ねしました。

─これから移住や起業を考えている人にアドバイスはありますか?

名嘉村さん:おすすめなのは今の仕事を続けながら、自分の好きな分野を試してみることですね。自分がやっていてワクワクするか、楽しいかというところが大事だと思います。ビジネス系の情報やトレンドはTwitterで集めています。あとは車もあったほうがいいですね。支援金の審査が通って振り込みをされるまでにもタイムラグがあると思うので、初めの半年くらいの生活資金は準備しておいたほうがいいでしょう。

─今後の目標は?

名嘉村さん:人と繋がるために、その時私が選べたのがリサイクルショップでした。しかしこちらにきてから自分の今後を考える機会があり、女性の働き方や健康維持などの支援をしていきたいという気持ちにシフトしていきました。今後はリサイクルショップを縮小して、バランスボールのインストラクターの資格と占い師の経験を活かしながら、女性の心と体の健康を整える仕事をしようかと考えています。事業規模が小さかったからこそ、こうして気軽にシフトチェンジができるので、小さく始めておいてよかったなと思います。

様々なことに興味を持ち、ライフスタイルに合わせて柔軟に変化していく彼女の今後の活躍に期待しています。

今回は6名の皆様にご参加いただきました。参加者からは、
・私が若い頃より選択肢が多いと思った
・実際に田村市に移住した方の話を聞けた、質問できた
・やる気ある方だなと思った
とのご感想をいただきました。

全5回に渡りお届けしてきました「福島のパイセン移住者とつながる」オンライントークイベントは今回が最終回となります。今までお迎えしたゲストのお話は、『たむら暮らし』ホームページ内にて開催報告として掲載しております。そのほか、田村市での田舎暮らしの魅力も紹介しておりますので、そちらもぜひチェックしてみてください。

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