【開催報告】福島のパイセン移住者とつながる 第3回「地域おこし協力隊のぶっちゃけ対談!地域のあれこれ”を語る会」

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2022年12月23日(金)に、現役地域おこし協力隊が本音で語り合うオンライントークイベントを開催しました。
今回は福島県田村市で地域おこし協力隊として活躍中の「佐々木馨さん」をゲストにお招きし、同じく地域おこし協力隊として活躍している「菅野千恵子さん」と「熊谷優希さん」がインタビュアーとなり、三人で対談を行いました。

ゲスト:佐々木 馨さん
岩手県出身。岩手の大学を卒業後、県外で就職。家庭を持つタイミングで働きづめの生活を見直し、過ごしやすい環境で暮らしたいという想いから、2022年4月に福島県田村市に移住。地域おこし協力隊として、地域での起業・創業支援を軸に活動中。

インタビュアー:菅野 千恵子さん
福島県出身。高校卒業後、就職をきっかけに上京。30歳を機に転職を意識するようになり、地元へUターン。前職で働きながら取得したヨガインストラクターの資格を活かし、田舎でヨガを通した新しいコミュニティ作りに挑戦中。

インタビュアー:熊谷 優希さん
福島県出身。大学卒業後は東京で働いていたが、もっと直接的に地元のために働きたいと思いUターンを決意。地域おこし協力隊として田村市の移住定住促進のためのイベントやツアーの企画・運営に携わる。


地域おこし協力隊になろうと思ったきっかけ

出身地も経歴もそれぞれ異なる三人。彼らが、どのようなきっかけでこの仕事に興味を持ち、どのような経緯を経て田村市にたどり着いたのか、詳しく話を聞きました。


─田村市での仕事に興味を持ったきっかけは?
佐々木さん:以前は学習塾の教室長をしていました。生徒から感謝してもらえるのは楽しかったのですが、塾業界はどうしても夜が遅くなってしまって。夜十時くらいまで授業をして、その後徹夜で仕事をすることもありました。仕事はやりがいもあったのですが、そうした     生活リズムが体に響いてきて 、将来のことを考え始めるようになりました。

菅野さん:東京での生活は楽しかったのですが、情報も人も溢れすぎていて、他の人と比較してしまったり物欲が満たされなかったりと、もやもやしていました。また働きづめの生活に心身が疲れてしまったこともあり、働き方を変えることを考え始めました。2019年の台風があった際、仕事場への影響について考えるようになり、自宅でテレワークができる仕事に魅力を感じ、転職活動を始めました。その際に地元の田村市にテレワークセンターというものがあると知ったことがきっかけですね。

熊谷さん:地元に貢献できる仕事をしたくて都内で就職しましたが、技術職として入ったのに営業に配属されてしまい、思ったような仕事ができない日々を過ごしていました。その後コンサルになったのですが、地元福島の企業を応援するような仕事はできず、激務なこともあり体調不良に。地元で働いた方がより直接的に貢献できるのではないかと、福島での就職を考えるようになりました。地域おこし協力隊のことは都内の就職フェアで知りました。


─どうして『田村市の』地域おこし協力隊に?
佐々木さん:もやもやしていたタイミングで、たまたまこちらのインスタグラムの写真を見ました。田村市に呼ばれたのではないかと思うくらいの良いタイミングだったので、きっとご縁があったのだと思います。

熊谷さん:私は最初福島県内の色々な市町村の地域おこし協力隊の説明会に参加したり、現役隊員の話を聞いたりして、比較して選びました。その中でも田村市が一番「やりたいことをやれそうな場所」だと感じたので就職を決意しました。地域おこし協力隊をご希望の方は、事前によく業務内容やミッションなどを調べた方がいいと思います。地域によって業務内容や求められていることがバラバラなので、着任した後のギャップに悩まないためにも事前調査は必要だと思います。

菅野さん:私はWebデザイナーなどのパソコンひとつあれば仕事ができる職種に憧れていて、色々な転職サイトを見ていました。そこでふと、田村市の求人を見ていたらWebデザイナー募集の文字が。今行っている実際の業務とは異なりますが、地元でもそういう仕事があるのかと驚き、そこで興味を持ち始めたのがきっかけです。



地域おこし協力隊の仕事と移住後の生活

廃校となった旧石森小学校を改装したテレワークセンター「テラス石森」。オフィスのコアワーキング施設や、地域住民によるイベント利用、たむら移住相談室として活用されているこの場所が三人の活動拠点です。地元の人が集い、新しい仕事が生み出されるこの施設内で、彼らがどのような業務をしているのか尋ねました。


─それぞれどのような活動をされていますか?
佐々木さん:地域での起業・創業支援を担当しています。田舎で事業をしたい、起業をしたいという人に地域の人や特色について情報提供し、移住後のギャップを減らす役割ですね。子供向けに、自然の中で楽しく学習する「もりのび」というイベントも行っています。学校や塾での室内学習はもちろん必要ですが、外での体験は教科書だけでは学べないと思います。

菅野さん:移住希望者に有益な情報を届けられるようなイベントを企画しています。先輩移住者の話を聞けるオンライントークイベントや、実際に田村市に足を運んでもらい農業や林業を体験してもらうイベント、移住希望者への相談対応などもしています。今年の6月からは本格的にヨガ教室を開催しました。人前に出て話をすることが得意なので、田村市のキャンペーンクルーという観光大使のようなこともしています。

熊谷さん:田村への移住を検討している方や、田舎暮らしに憧れている方向けのツアー·イベントの企画運営をしています。それに加えて、ツアー当日のアテンドなども行います。その他市民の方が楽しめるよう、Youtuber(ゲーム実況者)さんをゲストに迎えて職業紹介のイベントを開催したり、テラス石森に置いてあった古いピアノを復活させてストリートピアノとして活用したりといったこともしました。


─移住で世界観は変わりましたか?
佐々木さん:もともと田舎生まれだったので、田舎暮らしという点では変わりませんでしたが、世界観が広がったというイメージですね。

熊谷さん:何かが大きく変わったというよりも、人の考え方や生活のスタイルなど、元あるものにプラスされていった感じです。


─田村市の魅力とは?
佐々木さん:森林の整備が行き渡っていて、自然を大事にしている感じがします。それと人が温かいですね。3回くらいお店に通ったら、手土産をくれたり、ちょっと草刈りや収穫を手伝っただけで仲良しになれたりしました。

熊谷さん:野菜も美味しいしお米も美味しいですよね。

菅野さん:人と人とのつながりのおかげで生産者の顔がわかるから、そこがより美味しいく感じるポイントかもしれませんね。


─ご近所付き合い事情については?
菅野さん:こちらに移住した時はアパートの人全員に挨拶はしましたが、会った際に挨拶する程度です。集落の空き家などに住んでいる人は、もっと地域との付き合いがあると思います。


─地域おこし協力隊になってから感じたギャップは?
佐々木さん:地域おこし協力隊になる前は、野菜の収穫や雪下ろしの手伝いなど、ボランティア的な存在だと思っていました。個人プレーだと思っていましたが、実際はSwitchという組織の中での活動だったのが驚きでしたね。各々ミッションはありますが、同じ時間を共有し、共通目的を持って組織として動いているのだと印象的でした。

熊谷さん:私は、田舎で起業したい人のステップとして使う制度だと思っていました。田村市は自由にやれる場所ですが、自分の主張だけでなく、本当に地域のためになるのかということを考える必要があります。良い意味でも悪い意味でも自由であり、色々と決まってないからこそ、どう体制を整えていくかというのを自分で考えていかなくてはならない。そういうことが苦手な方は苦労するかもしれません。

菅野さん:はじめは地域のために頑張っていて、とにかくキラキラしているイメージでした。前職では基本的にマニュアルに沿って業務をこなすことが基本でしたが、この仕事は0を1にしていく業務が多いので、作り上げる大変さを知りました。正解がないからこそ、とにかく失敗してもいいからやってみることが大事だと気づきました。ただ、大変な業務の中でも自然が身近にあることで、ふと見た窓の外の景色に癒される瞬間はたくさんあります。


─田村市のメリットデメリット
佐々木さん:田村市は土や草の場所が多く、飼っているペットが喜んで散歩してくれていて、自然の姿のままで過ごせているのがいいなと思います。あとは郡山市に近いので、程よく人がいるところですね。30~40分車で走れば市街地に行けます。ペットと住める賃貸が少ないところがデメリットかな。


─今の給与で生活できていますか?
佐々木さん:生活はできています。税金などトータルすれば首都圏より安いと思います。

菅野さん:都会にいた時より食費などは減りましたが、車のガソリン代や灯油代などの固定費がかかりますね。


地域おこし協力隊の、その先へ。

同じ地域おこし協力隊としてそれぞれ違った業務を行なっている三人に、任期満了後の目標について尋ねました。

佐々木さん:塾では教えてあげられなかったことを子供たちに経験してもらえる、そんな新しいサービスをやりたいです。田舎だからこそ、子供にしてあげられることをしてあげたいです。

熊谷さん:県内の魅力ある場所や人を紹介するツアーやイベントを、企画·運営する     会社を興せたらと考えています。そのために資格を取ったり、勉強したりしています。海外の人も案内できるよう、ガイド業務も含めたツアーができたらと思っています。

菅野さん:一つの仕事に縛られない働き方をしたいと思っています。この仕事をしてから色んな職業や働き方に触れることができ、視野が広がった感覚があります。自分が快適と思える環境に身を置く、自分が楽しいと思えることは創れるということを学んだので、自分の得意分野を活かせる仕事をいくつか並行して行いたいと思っています。ヨガインストラクターももちろん続けたいし、司会業やカフェで働くことにもチャレンジしてみたいなと。日によって色んな顔を持つ自分でいることが理想の働き方ですね。

地域の新たな担い手として、注目されている地域おこし協力隊。三人の新たなチャレンジが、今後ますます田村市を発展させる起爆剤となることを期待しています。

今回は10名の皆様にご参加いただきました。参加者からは、
・メリットやデメリットなど、色々と生の声を聞けて良かったです
・自身が不明確だった部分が明確になりました
・勢いで今の地域に移住しましたが、他の地域にも興味を持つことができました
とのご感想をいただきました。

田村市では令和4年度地域おこし協力隊を募集しています。
詳しくは下記URLをご覧ください。
■観光特化型
https://tamura-iju.com/chiikiokoshi
■地域振興型
https://switch-terrace.com/chiikiokoshi
■起業型
https://tamura-iju.com/chiikiokoshi_kigyou


たむら移住相談室では今後も、田舎での暮らしを満喫されている方や活躍する地域プレーヤーをゲストにお迎えしてオンラインイベントを行います。ぜひ今後の情報もチェックしてみてください。

たむらぐらし