田村市船引町出身
大きな会社ではなく、珍しい会社にしたい。工芸品を守り続ける一家の想い。
田村市船引町出身
有限会社けやきの森
市川 勝夫さん・ひとみさん・勝章 さん
私たちは、国内でも数少ない餅つき道具専門店を家族で営んでいます。樹齢100年以上の厳選された国産のけやきを使用し、昔ながらの杵(きね)と臼(うす)を中心とした工芸品を全国各地へお届けしています。
元自衛隊から飛び込んだ商売の世界
(父)勝夫さん:開業のきっかけは、実家の父が大きなけやきを丸太の状態から買い付け、福島県の太鼓屋さんに木材を卸す商売を営んでいたこともあり、将来は自分もけやきを使ってモノづくりが出来ないかなぁと思っていたんです。元々29歳までは北海道などで自衛隊をしていまして、その頃は年末の恒例行事として餅つき大会があったんですね。体育館に臼を何十個も並べて、自衛隊の家族たちも含めて何百人もが集まる行事だったんですが、それが面白くて、美味しくて。みんなが笑顔になれる場所が本当に最高だったんです。その経験から、けやきで杵と臼を作って、自分で商売に挑戦してみるのも面白そうだなと思い、開業を決意しました。餅つき道具は需要が少ないかもしれないけれども、ニッチな商品なので、”大きい会社より、珍しい会社にしたい”と思いましたね。ただ自衛隊を辞めることに対して、幼い子供も2人いましたし、周囲や家族の反対もあったのですが、当時の私は商売の知識がゼロだったからこそ、怖いもの知らずのまま思い切って飛び込んだっていう感じですね。
機械では味わえない、本来のお餅の美味しさを
(母)ひとみさん:夫が自衛隊を辞めると言い出した時は、それはもう大反対しました(笑)それでも夫がやりたいと言うので私も手伝うようになり、当時は色々な苦労もありましたが、今となってはやりがいや楽しさを持ちながら働くことができています。作業工程においては、材料の木目や質によって、機械の刃物がすんなりと入っていく場所もあれば、傷んでいると変な音がしたり・・とにかく作ってみないとわからない。同じものが出来ないので、変化があってすごく楽しいんです。杵と臼でついたお餅は、機械でついたものと比べても、目で見てわかるほど、本当に柔らかくて伸びが違うんですよね。しかもそれが冷凍して解凍しても変わらないんです。本来の美味しいお餅とはこういうものだということを、ぜひ皆さんに知ってもらいたいですね。通常では、全国の自治会や幼稚園、保育園、老人施設からの注文が多いのですが、コロナの影響でみんなが集まれる機会が減ってしまったためか個人のお客様からの注文も増えています。
世界でたった一つの商品を、全国のお客様へ
(父)勝夫さん:餅つきが機械化されている中、実は都会の人ほど需要があるんです。田舎では”餅を食べることが目的”なので、早くて簡単な機械でつく方が多いようですが、都会では”餅つきをすること自体が目的”であり、みんなでワイワイと楽しむことを大事にされているのではないかと思います。製品のこだわりは、使う人のことを考え、穴の中で餅が返しやすく、杵でついても飛び出しにくいような設計にしていることです。けやきは大きく育つ木で、堅くて丈夫、かつ耐久性も抜群です。木材市場から買い付けた木を、約3年間しっかりと乾燥させることで密度が高くなり、割れたり歪んだりしにくくなります。ただし木の特徴は一つ一つ違うため、同じものが作れない。作ってみたら中から傷が出たり、ヒビが入ってしまったりということもあります。見た目はあまり良い状態ではない木でも、作ってみたら良い仕上がりになったりと、思いがけない成功もあれば失敗もある、だからこそ面白いんですよ。
田村市の工芸品を絶やしてはいけないと思った
(息子)勝章さん:私は専門学校を卒業後、20歳から家業を手伝うようになりました。学生の頃は都会に出て色々好きなことをやりたい年頃でしたし、絶対に継ぐもんかと思っていたんですよね。ただ、小さい頃からモノづくりが好きだったので、その延長線上で始めは父がやっている仕事を見よう見まねでやってみたんです。どうやったら効率的か話し合いながら取り組むうちに、モノづくりの楽しさ、やりがいを見出すようになった感じですかね。一人でできるようになるまでには、3年くらいはかかりました。木に刃物が食い込んでしまい、機械を壊してしまったりなど、失敗も多かったですね。材料で製品の良し悪しが決まるのですが、買い付けの際にまだ自分だけでは選べないですね。現在は勉強中なので、これから経験値を積んで、自分で考えて、見極める目を磨いていきたいです。同業者では自分が最年少なので、同世代の仲間がいないことは少し寂しいのですが、田村市の工芸品を絶やさないよう頑張っていきたいと思っています。
家族で同じ方向を見つめ、会社を守り抜く決意
(父)勝夫さん:品質を安定させるためには、買い付けの段階が一番重要で、失敗してしまうと1本丸々使用できないこともあるんです。そのため、年数を重ねてもなお目利きを向上させることは常に目標に掲げています。ありがたいことに、うちの杵と臼は「田村市ブランド認証産品」(市認証委員会がブランドと認めた市を代表する特産品)として認定をいただきました。これから何年現役としてこの仕事を続けていけるか分かりませんが、モノが溢れる時代の中で、ナンバーワンにはなれなくとも、やはりオンリーワンを目指していきたいと思っています。大きい会社ではなく、みんなに愛され、長く残る強い会社であり続けることが何より大事だと考えています。

(母)ひとみさん:息子には、自由な発想を持って、既存以外の新しい商品の製作にもどんどん 挑戦して欲しいなと思っています。楽しみながら仕事ができるということが一番ですしね。コロナ渦が治まったら、もっとたくさんの方がみんなで集まって餅つきができる時間が戻ってきて欲しいなと願っています。今は大変な状況の中でも、ご注文を下さる全国のお客様の喜ぶ姿を想像しながら、頑張っていきたいと思います。

■有限会社けやきの森
福島県田村市船引町要田蟹沢214
https://www.usu-shop.com/

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