【開催報告】農家になるためのあれこれ講座#3|ベテラン農家が語る持続可能な農業編 | たむらぐらし。~ 福島県田村地域の移住・定住情報サイト ~
【開催報告】農家になるためのあれこれ講座#3|ベテラン農家が語る持続可能な農業編

216()zoomによるオンラインイベント、「農家になるためのあれこれ講座#3|ベテラン農家が語る持続可能な農業編」を開催しました。

田村市の農業者団体「アグリクリエイターズたむら」のベテラン農家である齋藤英憲氏と箭内倉貴氏のお二人をお招きし、農業を生業としていくために必要な知識を中心に、経営のポイントやリスク管理について伺いました。

 

【ゲスト略歴】

齋藤英憲 (就農歴21年目)
【経営概況:ねぎ1ha、ブロッコリー春2ha・秋1ha、トマト1.4ha、ズッキーニ1.5ha】
前職は会社員をしていたが、実家の農家を継ぐため2001年5月に就農。所有している畑は、田村市の中でも標高の高い移ヶ岳の麓に位置し、寒暖差のある気候を活かし、主にトマトやブロッコリー、ねぎ、ズッキーニなどを栽培。市内一の大規模農園の経営頭として、12名の従業員を雇用しながら、地元の若手農業団体である「アグリクリエイターズたむら」の会長を務める。また、首都圏在住者向けの農業体験等の受け入れも行っており、地域活性に貢献している。


箭内倉貴 (就農歴14年目)
【経営概況:トマト大玉(ハウス)15a、トマト中玉(ハウス)10a、野菜育苗トマト・ピーマン23万本、水稲30a 】
就農前は、県内で植木屋や材木販売、農業機械の整備士を経験。結婚し、子供が生まれたことをきっかけに安定した収入で家族を養うため就農を決意。4~5月には野菜の苗を販売し、夏場にはトマトを中心とした栽培を行っている。「アグリクリエイターズたむら」のメンバーである傍ら、J A福島さくら青年連盟の委員長を務めるなど、地域農業の活性化に貢献。さらには新規就農希望者の研修受入を行っており、若手人材の育成にも注力している。


渡邊 和広 田村市役所農林課 )
田村市役所農林課において、新規就農をお考えの方から就農後のサポートまでを担当。福島弁訛りの親しみ深い人柄で、農業で生計を立てていくための必要な手続きや、研修先の斡旋等、相談者に寄り添った支援を行っている。

 
 
 


 

■農業のスタートについて

 

 

-なぜ就農したのですか?

 

齋藤氏:サラリーマンで営業職をしていた時、仕事中に車の中で2〜3時間ほど寝てしまったことがありまして。。しかしその後、急いで仕事をこなして会社に戻ったのですが、普段通りに仕事が終わったんですよね。寝てても寝てなくても、普段通りに終わったということで、これっていいのだろうかと疑問に思ったんです。もしかしたら私以外の方もこんな風に人知れず手を抜いて仕事をしていることもあるかもしれませんし、このまま会社員でいて大丈夫なのだろうかと思いましたね。この経験から、以前からやった分の収入は確保されるという点で自営業に魅力を感じていたので、実家が農家ということもあり、自分も農業を始めようと決意しました。

 

箭内氏:私は農業大学校を出てはいたのですが、就農する気にはなれず、前職では植木屋や材木販売、農業機械の整備士などをやっていました。結婚して子供が生まれ、このままの収入で育てていけるんだろうかと不安が生じ、会社へ昇給の交渉もしましたが、あまり変わることはないと言われまして。。。それなら、やればやるだけ稼げる仕事をするしかないと思い、農業を始めてみようと思ったんです。うちも実家が農家だったということもあり、親がやっている間に入り込みながら、自分で新しくチャレンジを始めていった感じですね。
 
 

-会社員のときと比べて、働き方や収入はどのように変化しましたか?

 

齋藤氏:自営業は時間に余裕があるかと思っていたのですが、カレンダー通りに休めるわけではないですし、自分のやりくり次第なので時間が足りないこともありますね。ただその分、収入については今の方が自由に使える額が増えました。

 

箭内氏:始めて2~3年は経営が厳しかったのですが、軌道に乗り始めてから徐々に安定していきました。収入面では会社員当時と比べると、最近はかなり余裕がありますね。

 
 

-長期的に農業を続けていくために、経営する際の基本的なポイントについて教えてください。

 

齋藤氏:冬の間に次年度の作付計画を立てていて、肥料代や電気代などの経費を細かく算出して準備を行います。ただし実際やってみると、天候や相場などの変動もあるので、計画通りになることは少ないのですが、きちんと数字上で損益を割り出して、その目標に向かって頑張るという意識は大事ですよね。前職では経理もやっていて資金繰りも担当していたので、その経験も活かされています。

 

箭内氏:きちんと売れるモノを作って、売上を確保するためには、”味が良い”、”形が良い”といったことは大きなポイントになりますよね。私の販売先は、直売に卸すものが多いので、商品がちゃんと美味しくないと、名前で買ってくださる、お客さんが付くということは難しくなります。だからこそ、きちんとした”モノづくり”がしっかりできるということが、何よりも一番大事だと思います。経費を削減しようとして、安い機械やビニールハウスを使うとすぐ壊れてしまって、かえって修理費が多くかかることもありますし、逆に新品の高級な機械を使っても、結局はしっかしりた作物ができないと経費をかける意味がなくなってしまいますね。こういった点からも、やっぱり基本は”モノづくり”がしっかりできる、ということが大事だと思っています。

 

-規模拡大や品目を増やすために心がけていることはなんですか?

 

齋藤氏:ブレない売上基盤を一品目は絶対に確保することですね。そして、忙しい時期に品目を掛け合わせないことが何より大切です。私の場合、絶対的な売上基盤はトマトであり、収入の約4割を占めています。春~秋はできるだけ収入を得ることができるようにがっつりと栽培して、冬は土が凍ってしまうので事務仕事をしてます。

 

箭内氏:増やす品目が、売りたいと思っている場所で、時期も含めてちゃんと売れるのかどうかをしっかりと見極めることが必要です。以前に、たらの芽を栽培する農家さんの元へ視察に行ったことがきっかけで、私も作ってみようとチャレンジしてみたのですが、コロナで飲食店からの需要が落ち込んでしまったため、あまり売れなかったということがありました。コロナが落ち着いた頃にまた再開したいなとは思います。

 

 

-作物を増やした際の失敗談があれば教えてください。

 

齋藤氏:冬場の収入を確保するために、ふきのとうを作ろうとしましたが、他の野菜の収穫が忙しくて、夏場の草むしりが追いつかず。。。収穫できずに終わってしまったということがありましたね。

 

箭内氏:私もトマトのハウスを使って、冬場に葉物野菜を栽培しようとしたことがあるのですが、齋藤さんと同じように夏場の管理作業が追いつかないことがありました。売上を増やすために、収穫のことしか考えてなかったんですよね。それに、トマトの収穫が終わってから始めると、売上のピークである年末年始に収穫が間に合わず、思うように売れなかったんですよね。冬場の農作業は寒くて肉体的にも大変ですので、やって儲からないなら、やらない選択するのも大事だと思いましたね。

 

【視聴者】社員のいない個人事業主的な農業では利益を生み出すことは難しいですか?

 

齋藤氏:利益の幅をどう考えるかですね。狭い面積で作るとか、直売所で単価を決めて販売するとか……家族経営でもできると思います。

 

【視聴者】新規就農者はどのように販売経路を見つければいいでしょうか?

 

箭内氏:人によります。量を作らないとスーパーに卸すのは難しいので、小さい農家さんはJAに卸すことをおすすめしています。

 

【視聴者】きゅうり栽培は収入が多いのでしょうか?

 

箭内氏:収入が多いですが、実働時間も長いですね。やり方にもよるかとは思いますが、朝晩どちらも収穫しなくてはなりませんし、知り合いのきゅうり農家さんはいつ寝てるかわからないくらいずっと働いていますね。

 

-コスト削減について教えてください。

 

齋藤氏:なんでも経費削減すればいいものではないですね。安価なものを使用すると修繕コストもかかります。ビニールハウスのビニールを薄いものにしたらすぐに破けてしまったし、軽トラを中古で買ったらもう一台の軽トラが買えるくらいの修理費がかかったこともあります。人件費をどれくらい抑えられるかもポイントです。従業員の高齢化や時間単位の生産性も考慮しなくてはいけません。

 

箭内氏:資材など大量に買うものがあれば業者ときちんと交渉することが大切です。それから田村市は寒い場所なので、私の場合は灯油を使う仕事はしないと割り切っています。夏にしっかり稼いで、その分経費がかさむ冬にはしっかりと休むようにしてメリハリを付けています。そして、しっかりとした売上を確保するために、収穫時の人件費をケチったらダメだと研修の時に指導されたことがあります。

 

【視聴者】IT農業を行っている農家さんはいますか?

 

渡邊氏:います。これからさらに増えてくる感じだと思います。トマト、米、牛の分娩管理などの分野に導入されています。

 

-気候などで今まで一番打撃を受けたエピソードは?

 

齋藤氏:雹の被害でズッキーニが傷ついてしまい、10tほど廃棄し、金額にして400万円ほどの損失が出てしまいました。夏の出来事だったので、その年のリカバリーはできませんでした。。。

 

農業のやりがいや厳しさについて教えてください。

 

齋藤氏:災害などに負けない意識の持ち方も大切ですが、作物を作っているうちに利益が生まれる実感が感じられるのが何よりの魅力です。同業の方と情報交換しながらお話しできるのも楽しいですしね。会社員の頃とは異なり、やったらやった分だけ、自分が作ったものが評価されたり売れたりするのも嬉しいですね。

 

箭内氏:朝から晩まで働いて肉体的には大変ですが、お客様から作った作物を「美味しい」と言ってもらえたり、「また買いに来るよ」と声をかけてもらえるのはやっぱり嬉しいですよね。

 

-就農制度についてご説明お願いします。

 

渡邊氏:認定新規就農者になると青年等就農計画、田村市独自の新規就農者経営発展支援事業、農業者スキルアップ支援事業などを受けられます。農業技術の習得のため研修を受ける場合は農業次世代人材投資事業という年間最大150万円の補助をもらえる制度も利用できます。そして、田村市は被災12市町村であることから、農業用機械や設備の値段の34(上限1,000万円)補助が出る補助制度もあります。(株)JAアグリサポートたむらや、咲倉ナーセリーなどの農業研修先や短期雇用についてもご紹介できますので、お気軽に田村市役所農林課にご相談ください。

 


 
 
 

今回のセミナーはオンラインより36の方にご参加いただきました。

 

ご参加いただいた皆様からは……

 

・長年農家をされているお二人だからこそ知っている、良い点や失敗談を聞けて満足です!

・災害で収入が減ったという新聞等の記事よりもリアリティのあるお話が聞けました。季節折々の作物の回し方もなるほどと思いました。

 

など、嬉しいご感想をいただきました。ご参加いただきました皆様、どうもありがとうございました。

 
 

 

全3回に渡りお届けいたしました「農家になるためのあれこれ講座」は、今回が最終回となりました。
たくさんの方にご参加いただき、本当にありがとうございました。

 

【主催】福島県田村市

本取組は「1次産業による持続的関係人口構築戦略」の一環として実施しています。

農林業を通じて地域活性化を図り、市外の方へ田村市の魅力を発信することで、移住・定住者を増やすための取り組み。

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