【開催報告】物件探しのヒントが見つかる!30代で叶えた天上のぽつんと一軒家
オンライン
EVENT REPORT
2023年7月27日(木)に、移住先の住まいや空き家をお探しの方に向けて、先輩移住者からお話を聞くオンラインイベントを開催しました。
地方移住をしたいけれど、生活の基盤となる『住む場所』が見つからない、どうやって探せばいいのかわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、実際に福島県田村市へと移住し、山上の空き家を手に入れて理想のスローライフを送っている先輩移住者・中村 匠汰さんをゲストにお呼びして、空き家の探し方、実際に暮らすまでの課題、その課題の解決方法など、移住後の『住まい』に焦点を当てて詳しくお話しいただきました。
ゲスト:中村匠汰さん
青森県むつ市出身。2022年4月に田村市常葉町へ移住。
日本工業大学建築学科。在学当時担当してくれていた美容師が、自分の店を持ちながら空き時間にコーヒーを豆から焙煎してくれた姿に憧れを持ち、将来は自分でも店を持ちたいを思うように。大学卒業後は、栃木県那須塩原市の歴史あるSHOZOカフェで5年間修行し、飲食事業について学ぶ。そこで現在の奥様と出会い結婚。その後長野へ移住し、ホテルでのフロントや受付といったサービス業務を経験後、地元の青森県に戻る。青森では酒蔵へ入社し、1年間酒造りについて学ぶ。青森での生活後、飲食事業立ち上げのための理想の土地と暮らしを追い求め、奥様の実家である田村市への移住を検討し始める。住居を探す際、偶然調べた空き家の条件やタイミングが運よく重なり、土地代・物件代がかからず現在の住居を手に入れる。現在は家族3人で暮らしながら、開業資金を貯めるために日々仕事に励んでいる。
インスタグラムID:na_k_m_r
様々な土地を経てたどり着いた、理想の『住まい』。
大学を卒業後、栃木・長野・青森などいろいろな土地に住んできた中村さん。カフェやホテルなどの接客サービス業をはじめ、日本酒づくりなどの仕事も経験し、多種多様な仕事に携わってこられました。2022年には、自分のお店を持つという夢のための理想の土地と暮らしを追い求め、奥様の実家である田村市へ移住。土地代・物件代ともに0円の物件に家族3人で暮らしていらっしゃいます。
━━どうして田村市に移住したのですか?
中村:他の県にいるときは、永住しようという決断まで至りませんでした。子供が生まれたタイミングで一軒家に住み、将来的には持ち家が欲しいと考えていた時に田村市で物件を探していたら、たまたま「空き家の窓口」を発見しました。タイミングも条件も良かったため、今の家に住むことになりました。
━━嫁ターン以外に、田村市への移住の決め手になったことはありますか?
中村:青森に住んでいたときは仕事がなく、賃金の基準自体が低過ぎて家族を維持していく程度の賃金が稼げませんでした。さらに、妻の地元である田村市なら妻のメンタルの安定にもつながると思いました。それと、田村市の早朝の田園風景がとても安らぎ好きだったんです。
━━物件探しの際の条件とは?
中村:土地代も建物代も0円という物件を探していました。最初は「みんなの0円物件」というホームページからやりとりしていて、妻の姉から「物件が掲載されてるよ」と教えてもらい今の物件に応募しました。私たち以外にも100人ほど応募があったらしく、他の人も待っているためすぐに決断しなくてはならなかったので、4日ほどで決断。所有権を移動させるための法的手続きにかかった司法書士への依頼費用20万円だけで家を手に入れることができました。
━━空き家購入を決断してから契約までどれくらいの期間かりましたか?
中村:この家の前オーナーが横浜に住んでいるらしく、横浜の司法書士にお願いして手続きをして1ヶ月後には鍵を受け取りました。全体で1~2ヶ月ほどかかりましたね。その後、会社をやめてからトータル4ヶ月ほどで田村市に引っ越しました。雪などの心配もありましたが、お金がかからないところが決め手でしたね。家族の決断は一人ではできなかったので、夜な夜な妻と相談して決めました。
━━入居までに何かトラブルはありましたか?
中村:、山水を引いて水道として使っている状態でした。長期間滞在すると水が枯れてしまうということで、試しに一週間住んでみたら、5日くらいで水が枯れてしまって。近所の人に水を借りたり、妻の実家に助けてもらったりしながら、何とか乗り越えました。思ったより早く水が枯れてしまって、驚きましたね。
━━改修はどのタイミングで行いましたか?
中村:去年行いました。「住んでふくしま」という補助金を申請するために、田村市内外の業者に頼んで修繕費の見積もりをしてもらったのですが、修繕できないという業者が多かったです。うちまでの道が細く、4tトラックまでしか通れないんですが「10tトラックでしか機材を運べない」とか。何とか業者を見つけ見積もりをもらい、4月から補助金の手続きに取り掛かかりました。仕事をしながらの手続きだったので申請するまでに4ヶ月くらいかかりました。そこから工事を始めて実際に住み始めたのが9月末。その間は妻の実家に住まわせてもらいました。補助金申請手続きが一番しんどかったですね。
━━具体的にどういうことが大変でしたか?
中村:県中建設事務所(郡山)に申請に行ったのですが、行政の方の使っている言葉が難しくてそれを理解するのに苦労しましたね。それと、補助金申請の要項などを見ると抜けてる部分などが多々あったり。自分が窓口に行けない時に奥さんが代わりに行ったりして、余計に話が混乱したり。それで4ヶ月かかりました。
━━補助金申請の要項で抜けていた部分とは?
中村:「住んでふくしま」という制度が、部屋の中を改修する費用に対する補助金だったのです。内装を直すことが必須だったので、トイレの改修だけではなく壁紙も含めて改修する事になりました。後で申請内容を確認されるので、それを説明できるように図面の把握もしておかなくてはならず、大変でしたね。改修した箇所は全部で3つです。
①トイレ(見積もり1社)
ボットントイレを水洗トイレに改修。
②井戸(見積もり4社)
山水を引いていたため、安定した水源のために井戸を改修。1ヶ月半くらいかかった。毎分500mlくらいの綺麗な水が出ている。
③浄化槽
排水そのものが地面に染み込む昔のままのシステムだったので、周囲の自然環境のことを考えて濾過式に改修。
━━土地の広さは?
中村:土地は約233平方メートル、建坪107平方メートル。標高600mくらいに立地しています。建物は築30年ほどで、3~4LDK。前のオーナーは別荘として使っていたらしいのですが、固定資産税がかかるのもあって急いで手放したかったそうです。
━━今の暮らしの快適さと不便さについて教えてください。
中村:標高が高く、遮るものがないので涼しいです。春になると家のうしろにタラノメやウド、ブルーベリーなどが採れます。街中まで車で30分くらいなので、買い物などはそこまで不便ではありません。うちはWi-Fiは引いてなくてスマホのケータリングを使ってますが、足りないときはシェアオフィスも使えますし。不便なのは蜂の巣かな。いろいろなところに巣を作られてしまうので、気を付けてます。
━━移住前後で変化したことは?
中村:青森に比べると福島の方が仕事がありますね。経済的な面で家族を維持でき、心の余裕も生まれました。子どもも新しい保育園でお友達を作って楽しんでいるようですし、移住してきて良かったと思います。
━━ご近所との付き合いはありますか?
中村:田舎なのでどうしても付き合いはあります。地方に住めば住むほど付き合いは深くなっていくと思いますが、そこは距離感を保ってうまく付き合っていくのがいいと思います。
━━休日はどのように過ごしていますか?
中村:コーヒー屋を始めているので、平日は会社で働き、土日は出店で、週7で働いています。仕事にしても、家族との生活も五感を使って、全力で楽しんでいます。
夢を叶えたい方、チャレンジしたい方が集まる場所・田村市!
田村市にて理想の『住まい』を手に入れ、移住後の生活を楽しみながら自分の店を持つ夢に向かって励んでいらっしゃる中村さん。最後に、今後移住を考えている方に向けてひとこといただきました。
「田村市は、ちょうどいい田舎です。福島の真ん中近くにあるので、約1時間で郡山まで行けるし、海に行きたければいわきまで行けます。自然もほどよく残っていて、伸び代の多い地域だと思います。二拠点生活もできるし、地域おこし協力隊になって地域を盛り上げるということもできるし、いろいろとチャレンジができると思います。インスタグラムなどでメッセージをいただければ、相談に乗りますよ!」
今回もたくさんの方にご参加いただきました。参加者からは、
・五感を使って暮らしを楽しむ様子が、写真やインスタから伝わってきました。自然溢れる環境で四季折々で手に入る食材を使って料理を楽しむ暮らしは贅沢だと感じました
・山だけど不便さを感じない、自然の中で生活している感じがしました
・ライフラインの水道の話、物件を決めるまでの過程について、実態を知ることができ参考になりました
などの感想をいただきました。
たむら移住相談室では今後も、田舎での暮らしを満喫されている方や活躍する地域プレーヤーをゲストにお迎えしてオンラインイベントを行います。ぜひ今後の情報もチェックしてみてください。